2021年6月5日土曜日

読書休憩


資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 著者:マイケルハート/ポールメイソン/マルクスガブリエル 編集:斎藤孝平
ポストキャピタリズム 著者:ポール・メイソン
生きるということ 著者:エーリッヒ・フロム
限界費用ゼロ社会 著者:ジェレミー・リフキン
と、一連の流れのように読み終えた

興味深く面白い内容だった
自分がどのような価値観によって形作られてきたかを探る手がかりとなった

ジェレミー・レフキンは
「今日、私たちが考えているような資本主義は18世紀後期に起こり始める」
と言う。
それは、蒸気の動力が導入されると共に始まった。
1796年 ジェイムズ・ワットは、石炭を燃料とする近代的な蒸気機関を発明した。
これが第一次産業の始まりであり、資本主義の起こりとなる。

この技術を真っ先に採用したのが綿織物工業だった。
石炭を燃料とする蒸気のテクノロジーは、蒸気印刷機と蒸気機関車という、新たなコミュニケーション/エネルギー/輸送マトリックスを生み出した。

コミュニケーションインフラ、エネルギーインフラ、輸送インフラ
この3要素が社会経済の基盤をなし、骨子を形成すると言う認識のようだ。

蒸気機関が促進する第一次産業革命に伴い、近代的株式会社が発足した。
なぜなら、アメリカの端から端まで蒸気機関車が走り出した社会、
これを可能とする交通インフラに出資するには、
近代的な株式会社という全く新しい種類のビジネスモデルが必要となったから。
そして、実質的に鉄道会社は、近代的な資本主義の事業会社の第一号となった。

リフキンの考察以前は、東インド会社が世界で最初の株式会社だと認識していた。
しかし、イギリス東インド会社もオランダ東インド会社もどちらも短期的なものであった。

資本主義経済の特徴である垂直統合型の大企業の経営自体は、
中央集中化されたトップダウンの指揮・統制メカニズムによって効率よく遂行され、
企業業務のあらゆる面で合理化が求められた。
マックスヴェーバーによれば、理想的な資本主義企業は、一つ屋根の下で事業活動のあらゆる面を合理化する官僚制組織であるとした。
それは社会主義経済でも中央集中化・階層制の指揮・統制メカニズムは同様であるとする。

資本主義、社会主義問わず、
中央集中化、官僚制的指揮・統制メカニズムであった。

蒸気を動力源とする高速で安価な印刷は、ヨーロッパとアメリカ全土で大衆に識字能力をもたらす運動を促進した。
工業化された都市では公立学校制度が確立され、義務教育体制が敷かれた。

垂直統合型企業は19世紀の最後の25年間で軌道に乗り、20世紀全般を通してビジネスモデルの主流となった。
まさにこれまでの社会のレールであると思う。

19世紀の最後の20年間に第一次産業革命が頂点を極めていたまさにその時期、
第二次産業革命がヨーロッパとアメリカで始まろうとしていた。
石油の発見と内燃機関の発明と電話の導入によって新しいコミュニケーション/エネルギー/輸送複合体が台頭した。
1876年 アレクサンダーグラハムベルは電話を発明。新しい石油、自動車、郊外経済と大量消費文化を管理する上で決定的要因となる
中世紀後期における純粋な市場交換経済が、19世紀中期までに資本主義経済に移行した

第一次産業革命の3本柱が石炭、電信、鉄道
第二次産業革命では電気、電話、自動車

限界費用ゼロ社会には、これからの経済、
資本主義経済から、共有型経済(シェアリングエコノミー)への移行による社会で起こるであろう動きや、
垂直統合型の社会から、
水平分散型の社会への展望や期待、そしてうまく昇華するためのポイント等も書かれていた。

リフキンは、第三次産業革命を新ガンディー主義と親和性が高いと書いている。
希望に満ちた展望が書いてあった。
(ドイツではインダストリー4.0。日本ではソサエティー5.0と呼んでいる。数字が大きければ良いみたいな意地の張り合いに見える。まるでドラゴンボールの世界)

2015年刊行の本なので、既に古くなった情報もある。
しかし、その背景や文脈が知れたのは面白かった。
が、それ以上に資本主義とはなんぞや、現代の経済基盤についてのリフキンさんの考察が書いてあり非常に惹かれた。

人生いつでも学び直しができるな、と思う。

やはり、印象的だったのは、

”蒸気を動力源とする高速で安価な印刷は、ヨーロッパとアメリカ全土で大衆に識字能力をもたらす運動を促進した。
工業化された都市では公立学校制度が確立され、義務教育体制が敷かれた。”


という一節。
この学校を覆う価値観は今日まで続いていると私は感じているから、
それが改めて明文化されていると思ったから。
国を超えて、資本主義と産業革命は人の物語を変えた。

フロムの生きるということはジャンルとしては違うかもしれないけれど、
根底は繋がっている

次の本は、ちょっと休憩がてらに野口晴哉さんか、小農学会の機関紙にしようと思う。






資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐





マルクス・ガブリエル (著), マイケル・ハート (著), ポール・メイソン (著), 斎藤 幸平(編集)










ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界





ポール・メイソン (著)





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生きるということ





エーリッヒ・フロム










限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭





ジェレミー・リフキン





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