2014年11月13日木曜日

猿対禿

猿を叩き殺そうと、少し早めに家を出た。
仕事までの30分間で決める。

武器となる良さげな農具を選んでいると、刺しやすそうなものがあったのでそれを手にし、いくつかの石を持って静かに棚田を上がっていった。
しかし、やはり野生動物の方が生き抜く力が強い。
感づいたのだろう、姿はなかった。

面白いことに、絶対に荒らされていると思った自分の稲架は無傷だった。
綺麗に残っていた。
その代わり、上の棚にかけられていた他所の人の稲架が、昨日までは無事だったのに壊滅状態になっていた。

刺しやすそうな農具はピッチフォークと呼ぶらしい。
振り回してわかったのだけど、取手があると扱いにくい。
鋤簾は長過ぎる。
大鎌は元々の道具の使い方に近いので扱いやすかった。
道具、面白いな。

草も木も冬に向けて変化している時に、
のうのうと米を干しているのだから、
野生動物が食べに来るのは当然だろう。
間抜けな人間が用意した食料だ。

来年はしかるべきときにあるべき姿でありたい。